Monthly Archives: 8月 2004

断片的な独白(15)

今、ノーム・チョムスキー氏の本を読んでいる。今更ながら認識を新たにしたことは、我々は企業の宣伝によってコントロールされているということだ。何か社会に問題が起こるとつい政治や政治家が悪いと思いこみやすい。だがそれこそが長年企業は正しいことをして収益をあげていると思い込ませる宣伝の効果以外の何物でもないと言うのだ。最近原発や自動車製造、食品部門等で重大な問題が出て、人が死んだりしてやっととりだたされてきているが、実は昔からずっとそうだったのだ。企業というものは金を稼ぐ目的のためには人の命も省みないものだということ。テレビやメディアは中立の立場あるいは公共の利益を代表していると言った幻想もまたメディア企業のプロパガンダにすぎない。だから自分の働いてる会社やお店が何をしているのかはもう一度考えたほうが良いかもしれない。食べるためにお金を稼ぐわけだが、会社やお店の業務に加担しているわけだから。。。と書くと全て悪いようにとるかもしれないが、考えることは大切だ。俺は俺、なんて社会性も無く孤立無縁でやっていればアンダーグラウンドでお金もついてこないから結局貧乏で不自由な人生になる。といって売れたら売れたで、会社の犬で操り人形じゃどうしようもない。どこまでいっても一部の金持ちのために我々は搾取され続けるしかないように見える。企業や権力の犬でなく、貧乏アングラ人生でもない生き方しますよ!わたしゃ。
個性のある人は自己中だ。輝いているけれど何かの犠牲を伴う。世間の顔色うかがって生きている人は、自分が何だか何したいんだかわからないからただ従う人生だ。世間が右と言えば右、左と言えば左に流れる浮き草人生。権力と大衆、教祖と信者、社長と社員etcどこにでもころがってる構造だ。これが今変わりつつある。一人一人普通の人が個性豊に生きる時代に。。。

『性こそ吾なり 老いてなお色失わず』波多野完治著(光文社)

よく「金と女」という言い方があるが、それは、権力や欲望うごめく、暗いイメージを感じたものだ。ここで言う「女」とは、欲望の対象としての象徴で、長い人間の歴史の中で、性はいつも暗いベールの中に隠されてきた。以前から人間の矛盾の構造の際たるものとして、また、最も本質的なこととして、金と性の問題があると感じてきた。逆に言えば、性や金のことと真正面からむきあっていくことで、わかっていけるのだと思う。空海等、偉大な先哲達もずっと探求し続けてある境地に達したのだ と思うが、特に性はいつも闇に閉じ込められている。誰もが日常的に感じ、行動していることなのにまともに語れないタブーな世界。考えてみれば不思議なことに、本来最も大切なことが最も隠されているという矛盾そのものと言うか…。男女の関係が人間の文明、文化、思想、生活、仕事、全てに反映しているし、不毛な男女関係が次世代の抑圧を作り、連綿と受け継がれていくということもある。人の因って立つところ、運命的なことを作っているのが、男女の関係がどうであったか(子供でであれば父母の関係)によって決まっていくように思える。本書の「性欲の支配下にある現代文明」という項でも述べられているが、性欲とは生命力、エネルギーであると思う。一般的には老人になったら、ただ、じみにして死を待てば良いとする現代社会は、まちがいだらけの性概念に支配されている。年取って、性のことに興味持ったらはずかしいみたいな偏見から脱出し、正直に性に向き合うというか素直になることだ。更に、男中心の男根中心説からの脱却。射精をもって完了とする目的意識と結びついた性意識が、女性、子供、老人を差別してしまうような不幸な社会を作ってしまうのだと言うこと、同感です。性が豊かになったら、人間は今まで経験したことのない、喜びの世界を生きていけるでしょう。

断片的な独白(14)

同じ頃にロイへインズの新譜とジョーザビヌルの本に出会った。こう言うと人によっては抵抗があるだろうが、二人とも古いタイプの英雄だ。ロイはただでさえハードな運動量とパワーを必要とするドラムスを炸裂せんばかりのパワーと繊細さでたたきまくっている。基本的なことは若い頃とほとんど変わっていないが、迷いがなく、たたききっているという点ではむしろ以前より進化しているようだ。久々に感動した。一方ザビヌルは少年のころからジャズが好きで好きでたまらなく、なんとか黒人のジャズを自分のものにすることを必死に追求していたようだ。偏執狂といっても良いくらい一直線でわき目もふらず突き進むという人に見えた。ピュアで行動的、戦闘的な人だ。このような時代を引っ張ってきた英雄タイプの人は今はでない。どんな人なのだろう?何か共通項として究極のエゴイストなのだと思う。本人も言っているが人に合わせて適当にやってる奴とは違うと。だからまわりと衝突することを恐れない。つねに戦いの日々だ。以前ミュージシャンやってた頃よく考えたが良い人は成功しないということ。成功していく人は我が強くて人を倒してまでも自分に固執する。傷つけてることすら意識せずに。こう言う人の宿命は人を倒して成功して、いつかまた倒されていくということだ。自分と周りとの関係はは矛盾をかかえている。やがてあがった運も落ちていく。最初から矛盾を孕んでいる以上必ずそうなる。究極のエゴイストの時代は終わっている。大したものだということを素直に感動しつつもこういう人達の時代の終焉を感じた。