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『もっとウソを』竹内久美子著(文芸春秋)
科学とはウソをつくことである。という章もあるように、目からうろこの面白い本でした。なおかつ、大変本質的なことを語っている。すなわち、科学とは本来なぜ、なぜと問うていくことであり、今までと違う発想を次々生み出していくことであると、そして、それ自体が大変おもしろいことであり、イギリスではある時まで、おもしろい発想の論文が認められて、それは必ずしも正しいことではなかったというのです。考えてみれば、この大自然、大宇宙のことで、人間がわかっていることの方がほんのわずかで、世界は不思議に満ちているわけで、むしろ問題なのは、日本の科学の世界がこういうのが科学的であるという固定的なものの見方にがんじがらめになって、ドグマ化していることだ言うのです。科学を信仰の対象のように崇め奉って、そこに当てはまらないことを、排除してしまうような動きがあるようだ。残念ながら日本の社会は科学に限らず、知らないこと、今までに無かったこと等に対すると排除してしまう傾向を感じる。自分の経験でも、音楽家の世界いわゆる業界の世界等その典型と言っても良いと思います。自分がある時期一生懸命勉強した知識、経験に逆にはまってしまって自由じゃないという皮肉な結果になっている。(本来音楽とは自由なもので、これが音楽と言うワク決めはないはずなのに)突出したエキスパートはおそらく柔軟だと思うが、中間的な、専門家、職人、学校の先生等いわゆるプロと言われる人達が一番頭が固くなってしまっている。赤ちゃんや子供達が次々に興味を持って、遊んでいるような、素直な心で生きることが、いつの時代にも、生き生きと元気に生き抜く秘訣なのではないでしょうか。