フットプリンツ3
さて話は前後するが、中学の時、ラジオの深夜放送というのがブームになった。今や全国的な人気者になったみのもんたやライブドアの買収騒動でターゲットになったニッポン放送の亀渕社長はかつてこのラジオ深夜放送のディスクジョッキーだったのだ。ポップスやロックのヒット曲をトークを交えてかけていく。当時のトレンドだった。ポップス、ロックにはまっていた私としては当然チェックしていたわけだが、そのなかで深夜12時前後だったと思うが、ナベサダとジャズという番組があった。よくなにげにスイッチを入れるとかかっていたのだが、当時の自分はこれがまったくチンプンカンプンでどこがいいのかさっぱりわからず、すぐちがう局に変えていたものだった。サックスのアドリブというのがただブカブカやっているだけにしか聴こえなかったのだ。それが5年後ぐらいには毎週のようにチェックするようになるのだから不思議だ。他の人は知らないが、自分にとってジャズはパッと飛び込んで来てすぐピンと来たものではなく、何回か接しているうちにじわじわとしみ込んで来るように入って来た音楽だった。
話を戻そう。バンドを結成した所からだ。なんとか頭数はそろったものの、なかなか上手くいかなかったように思う。いちおう理論書は本場アメリカのデルボ社という所の出したものがよさそうなので、訳本を買ったのだがスケールやコードの理論はわかっても,本当にみんなこんなのでやってるの?と思う程実際と結びつかず暗澹としていたのを思い出す。しかもジャズピアノ版というのが出て、喜んで買ったら、第一章テディウィルソンとかいっていきなり左手10度のスイングベースを練習しましょうなんて。。。手が届かないって言うの。欧米の人はできるかもしれないが。。それに私はモダンジャズを理解したかったので、ウイントンケリーとかガーランドとかトミーフラナガンのスタイルを知りたかったのだ。じゃあコピーすれば良いんだと思い、聴き取ろうとするがこれが全くわからない。レコードを聴きながらコピーするなんて当時音楽の訓練も素養も大してない自分にとってはできる芸当ではなかった。それがある日外語大のジャズ研でアルトサックスをやっているという人が私の住んでいた外語大の寮に遊びに来て、バンドでピアノを弾いてくれた。エフのブルースの最初のエフセブンにナインスのテンションノートが入ったコードを弾いてくれた時の感動といったらなかった。これこそ探し求めていたコードサウンド。今思えばこんなことも聴き取れない耳だったのかと思う程単純なのにわからなかったサウンドがそこにあった。それを確かマイルスインニューポートのレコードのビルエバンスにあわせて、ストレートノーチェイサーを何度も何度も弾いたのを覚えている。