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『葉隠入門』三島由紀夫著(新潮文庫)
2004年4月17日(土) 元禄の太平の世に、武士道の堕落を危機と捉え、「武士道とは死ぬことと見つけたり」という有名な句は、実は「良く死ぬことは良く生きることなり」という、逆説の書であり、三島が生涯の座右の書と言う有名な「葉隠」の三島流解説書、人生論。戦後日本がたどった欧米化の中で、失った魂、美の危機を早くから見通していた三島の慧眼に驚かされる。又、芸術至上主義を嫌い、文武両道という思想と行動の一致を常に考えていた作家三島の気持ちの代弁者としてこの書物に心強いものを感じていたに違いない。戦後20年の大平の社会の中で、飼い慣らされた、うわべだけの自由から、真の自由と情熱を説いた書。さらに、私自身、高校1年の頃、街頭闘争等に参加していた学生運動の心理的な面--あれに参加していた青年たちは、何か身を挺するものを探して参加したに過ぎず、必ずしもイデオロギーに支配されたり、あるいは自分で安保条約の条文を精密に研究して行動したわけではなかった。彼らは相反する自分の中の衝動、反抗と死の衝動を同時に満たそうとしたのである(本文より)--を見事に見通しているところも、三島の感性の鋭さに驚き、共感した。原書と共に現代の日本社会を憂いた三島の訴えが伝わってくる。良く死ぬこと(生きることの)の出来なくなった現代に警鐘をならす名著だと思います。 <新着記事>
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